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国産材コラム

目的は一つ 実り多き年に

朴訥の論

年末に階段を踏み外し圧迫骨折で3週間の入院を初体験した。

 

入院9日目にレントゲンを撮ることになり、担当の若い看護師が付き添った。レントゲン室で女性技師が腰椎を固定しているコルセットを外すよう看護師に指示。ところが外す時は必ず承諾を得るよう主治医に言われていた看護師は、承諾を得てからでないと外せない、とその指示を拒んだ。レントゲンを撮るということはコルセットを外すことだ、とベテラン技師は不快感をあらわに語気を強めた。

一悶着あったが、技師から直接主治医に確認することで事なきを得た。それにしても屈せず責任を貫いた若い看護師さんの落ち着いた対応に、感心すると同時に頼もしくさえ思えた。

 

冷静になれば若い看護師が何を言っているのか理解できた筈だが、抵抗されたことで感情的になった技師は自分を見失ったようにも感じられた。多少理不尽さを感じても、力関係で強い方に流されることはよくあるが、自分の責任を推し量れば、納得できない以上簡単に屈することは出来ない。

 

建築も同じことが言える。大手メーカーの新築工事に関わった大工棟梁から聞いた話だが・・・。

 

棟上げの時にカケヤ(大きな木槌)を振るい柱を叩き締めていたところ、それを見ていたお施主さんが、木材を傷めるから止めてほしいと現場監督に要請したようだ。

 

 

元来、ホゾ穴を小さめに加工し、柱を差し込み叩き締めることで抜けにくくする。大工は理由を監督に説明したが、納得されず「言う通りにしないのであれば大工を変えてほしい」というお施主さんの一言で、監督は大工を外してしまった。

 

全ての物事には理由が存在する。プロとして説得に足りる説明ができなかった監督にも問題はあるが、耳を傾けようとしなかったお施主さんのリスクは大きい。

 

建築請負契約は完成した現物を見ないで行うペーパー契約である。設計図と見積書を基本として行うものだ。あくまでもフィフティ・フィフティの関係であり、どちらの力が勝るわけでもない。

 

言わばお施主さん(発注者)と施工会社(受注者)は一軒の家を工期内に完成させるという共通目的を持つ同志でもある。二者が噛み合ってこそ工事は上手く回る。新築・リフォームを問わず建築の出来不出来は物ではなく、人間関係が左右するところが大きい。

 

2017年、胸襟を開き語り合い、共に実り多き年にしたい。

 

(「木族」2017年2月号より)

 

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